レーシングカートのスプロケットセッティングは、タイムやレース戦略において非常に重要です。
スプロケットの歯数(丁数、T)を変更することで乗り味が劇的に変わります。
今回は、レーシングカートのセッティング初心者に向けて、スプロケットの基礎と歯数変更による特性変化をご紹介します。
スプロケットのセッティングを変更が上手くいけば、0.5~1.0のタイムアップも見込めます。
ぜひ本記事を通してセッティングの基礎であるスプロケットの変更をマスターしてください。
また、カートのスプロケットのメカニズムは他の自転車やバイクなどとも共通しておりますので、カート以外の方も是非参考にしていただければ幸いです。
スプロケットとは
スプロケット(Sprocket)とは軸の回転動力をチェーンに伝達したり、そのチェーンの動力を軸に伝える役割を担う歯車です。
スプロケットはギアと混同される傾向にありますが、明確な違いがあります。
ギアは、歯車と歯車がかみ合って軸から軸への伝達を行う一方、スプロケットはチェーンを介して軸から軸への伝達を行います。
したがって、自動車のトランスミッションなどの機構はギアであり、自転車のような機構はスプロケットです。
スプロケットの仕組み
カートにおけるスプロケットの役割は、エンジンの動力をリアタイヤの回転に伝達することです。
変速機を持たないカートは(変速機付きのミッションカートもある)、エンジン側とリアタイヤに繋がるリアシャフトに1枚づつスプロケットが設けられており、チェーンを介してエンジンの力を伝達しています。
この両スプロケットにはそれぞれ名前があり、エンジン側のスプロケットをドライブ・スプロケット、リアタイヤ側のスプロケットをドリブン・スプロケットと言います。
また、両者の位置の関係からドライブ・スプロケットをフロント・スプロケット、ドリブン・スプロケットをリア・スプロケットと呼ぶ場合があります。
これらは同義であり、カート界では後者の方が浸透していますので覚えておきましょう。
歯数変更による特性変化
スプロケットの凹凸の凸の数を歯数(丁数)と呼び、単位はTで表します。
自転車に乗る方は想像しやすいですが、この歯数の大小によって大きく特性が異なります。
レーシングカートは変速機を有さないので、このスプロケットの選択がレースやタイムの明暗を分けます。
それでは歯数変更による特性変化を見ていきましょう。
ドリブン・スプロケットにおける特性変化
まずはドリブンスプロケットの変更です。
カートでは最もベーシックなセッティング変更になります。
ドライブスプロケットを一定としたとき、ドリブンスプロケットの歯数変更でどのような特性変化があるでしょうか。
結果は以下のとおりです。
加速 | 最高速度 | |
ドリブン小 | 遅い | 速い |
ドリブン大 | 速い | 遅い |
ドリブンスプロケットの歯数は大きいほど加速性能が高まり、小さいほど最高速度が上がります。(エンジンの限界はある)
ドライブ・スプロケットにおける特性変化
次いでドライブスプロケットの変更です。
加速 | 最高速度 | |
ドライブ小 | 速い | 遅い |
ドライブ大 | 遅い | 速い |
ドライブスプロケットの歯数はドリブンスプロケットとは真逆の特性があります。
また、ドライブスプロケットの変更はドリブンスプロケットの変更よりも特性変化が大きいです。
ドライブ1Tの変更でドリブンの数T分の効果があります。
したがって、大袈裟なセッティング変更が必要な時以外はドリブンスプロケットを変更するようにしましょう。
なぜスプロケットを変えると特性が変わるのか
それではなぜスプロケットの歯数を変更すると特性が変化するのでしょうか。
そのメカニズムは変速比を理解することでメカニズムが分かります。
下記記事でスプロケットの歯数と特性変化のメカニズムを解説していますので、”なぜ?”と疑問に思った方はご参照ください。
まとめ
いかがでしたか。
スプロケットはレーシングカートのセッティングにおいて非常に重要な要素です。
スプロケットの変更でタイムは大きく変わりますし、レース展開も変わってきます。
歯数変更の特性変化を理解し、最適なセッティングをすることで、速さの足らない部分を補うことができます。
ぜひ本記事で得た知識を忘れずに、最適なスプロケットセッティングを試みてください。
以上、スプロケットの仕組みと歯数変更による特性変化のご紹介でした。