レーシングカートやレンタルカートを体験したことがある方は“インリフト”という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
インリフトはカート特有の動きであり、速く走るためには必ず理解するべき特性の1つです。
今回は”インリフトって何?”という方に向けてインリフトの解説とインリフトのメカニズムを解説していきます。
インリフトとは
インリフトとは、コーナリング中(ステアリングを切っているとき)コーナに対して内側のリアタイヤが浮き、3輪走行状態になる現象を指します。
「浮いてるの?危険じゃない?」と思われるかもしれませんが、実際には1秒にも満たない時間を1~3cm程度浮いているだけであり、”浮く”というよりは”路面から離れる”という方がイメージしやすいかもしれません。
インリフトの必要性
それではなぜカートはインリフトするのでしょうか。
その答えは、カートにはデフが備わっていないからです。
デフとは
デフとはデファレンシャル・ギア(Differential Gear)の略称であり、自動車に使用されている動力伝達装置です。
日本語では差動装置とも呼ばれています。
上の画像はピンクの車両が円のコースを走行した際、左右のタイヤの軌跡をブルーのラインで表したものです。
画像からも分かるようにコーナーでは内側のタイヤの方が短い距離を走行するため、タイヤの必要回転数が外側のタイヤよりも少なくなります。
デフはこの回転数の差をカバーしながら、エンジンの動力を均等に振り分ける役割を担っています。
このように左右のタイヤに回転差を生ませない限りは、自動車は曲がることができません。
インリフトはデフの役割を担う
カートはデフが備わっていないため、左右のリアタイヤは1つのシャフトを通じて同じ回転をします。
ゆえに、カートは理論上曲がることはできません。
しかし、インリフトすることでデフが備わっているような状況を疑似的に再現しています。
コーナーに対して内側のリアタイヤが浮き、回転数に左右差を生じさせることでカートは曲がることができています。
つまり、インリフトはカートが曲がるためにデフの役割を担っている必要な動きです。
インリフトのメカニズム
インリフトは前輪のキャスター角が大きく関係しています。
キャスター角で車両が傾き、ブレーキングやコーナリングのGで内側の後輪が浮きます。
詳しくは上記の記事をご参照ください。
まとめ
いかがでしたか。
カートはコーナーリング中に3輪走行の状態があり、それをインリフトと呼びます。
カートの”インリフト”はデファレンシャルギアが備わっていないがゆえに、曲がるうえで必要な動きであることが分かりました。
カートで速く走るためには理解しておく項目の1つであるため、しっかりと覚えておきましょう。
以上、カートのインリフトのご紹介でした。