車好きの方やレーシングカートを享受される方の多くはトレッド幅という言葉を聞いたことがあると思います。
しかし、トレッド幅のセッティング変更にによってどのような特性変化が生まれるかご存知でしょうか。
レーシングカートにおけるトレッド幅は、車で一般的に論じられている特性変化の他に、インリフトに寄与する要素があります。
したがって、トレッド幅のセッティング変更を施すことでコーナリング性能を高められる場合があります。
本記事では、”トレッド幅とは”という段階からカートにおけるフロントトレッド幅とインリフトの関係性をご紹介します。
トレッド幅とは
トレッド幅とは左右のタイヤの中心から中心までの距離を指します。
レーシングカートはフロントトレッド、リアトレッド共に容易にセッティング変更可能です。
フロントトレッドはナックルに設けられたカラーの枚数や幅を調整することでトレッド幅を変更できます。
一方、リアトレッドはリアハブの取り付け位置を調整することでトレッド幅を変更できます。
フロントトレッド幅とインリフト
フロントトレッドとリアトレッドはマシンを支えるタイヤの位置を変化させるため、動きに大きく関係します。
今回はその中でもフロントトレッドとインリフトの関係性についてお話しします。
インリフトとは
カートはデファレンシャルギア(通称:デフ)が備わっていない為、コーナーに対して内側のリアタイヤが浮き、路面から離れることで左右の回転差を生じさせています。
また、キャスター角が付いていることでハンドルを切った際、左右の操舵輪(前輪)に上下の高低差が生じることでこのインリフトは発生しています。
これらは下記の記事で詳しく解説していますので、先にそちらをご参照していただくことをおすすめします。
フロントトレッド幅とインリフト
上記の画像からイメージできるかと思いますが、円弧(ピンクの線)の長さは円の半径に依存します。
同じ角度であっても、半径が長いほど円弧の長さが伸びていることが分かりますね。
このロジックはフロントトレッド幅にも当てはまります。
ハンドルの切れ角は同じであってもフロントのトレッド幅が広いほど、ハンドルを切った際のタイヤの移動距離は増加します。
画像が2Dであるためx軸,y軸方向の変化ばかりに焦点が当てられますが、このロジックはz軸(3D 斜め方向)に対しても同様です。
以前キャスター角の記事でお話ししていますが、カートのフロントタイヤは上記のように、左右に動くのと同時に上下にも動きます。
つまり、フロントのトレッド幅を広くすることでタイヤの上下動の移動距離も増加します。
操舵輪の上下動が大きくなると、高低差も大きくなるためインリフト量やインリフトのしやすさに影響します。
したがって、フロントトレッド幅を広くするほどインリフト量が増加またはインリフトしやすいマシンになり、その逆もまた同じです。
まとめ
いかがでしたか。
本記事ではフロントトレッド幅とインリフトの関係性についてご紹介しました。
トレッド幅はカートのコーナリングに重要なインリフトに寄与するため非常に重要なセッティング項目です。
本記事ではじめてトレッド幅を知った方や、今まで何も考えずにトレッド幅をセッティング変更していた方の頭の整理ができていれば幸いです。
以上、フロントトレッド幅とインリフトの関係性のご紹介でした。