タイヤと空気圧は密接な関係であり、空気圧が適正値でないとタイヤの性能を十分に発揮することはできません。
一般車とは異なりレーシングカートは特に空気圧が極めて重要であり、空気圧によってマシンの動きやレース戦略が左右されます。
したがって、レーシングカート初心者の方はまずタイヤの空気圧を適正値に合わせることが重要です。
今回は、”空気圧”とはというレベルからトップチームも実践している空気圧の合わせ方をご紹介します。
タイヤの空気圧とは
タイヤの空気圧(エア圧)とはタイヤに含まれる空気の圧力(量)を指します。
レーシングカートに限らず一般車や自転車までも空気圧は重要な要素であり、適正値に合わせることでタイヤの持つ本来の性能を最大限に発揮できます。
カートで速く走るためには高いタイヤのグリップ力が必要ですが、このグリップ力を生むためにも適正な空気圧に合わせることは必須です。
仮に不適正な空気圧で走行すると、熱ダレ現象や偏摩耗、最悪の場合はバースト(破裂)することもあります。
このように、速く走れる以外にもリスク回避といった要素もありますので必ず適正空気圧で走行してください。
また、タイヤの空気圧はマシンセッティングとしても有効です。
適正値の範囲内で空気圧を高めたり低めたりすることで、タイヤの特性が変化しマシンの動きを変えることができます。
また、特性変化を利用してレースの戦略を変更することも可能です。
詳しくは下記記事を参照ください。
冷間と温間とは
タイヤの空気圧の合わせ方に入る前に、空気圧を合わせる上で”冷間”と”温間”という言葉を理解する必要があります。
冷間・温間とは空気圧を測定するタイミングを指し、走行前の状態を”冷間”、走行後が”温間”です。
なぜ走行前と走行後で呼び名が異なるのでしょうか。
それは、走行前と走行後では空気圧が異なるからです。
タイヤは走行していくうちに路面との摩擦で温まります。
タイヤの発熱により、当然タイヤの中に入っている空気も温まるため、空気が膨張し空気圧が高まるというメカニズムです。
エア圧を4輪均一にする方法
一般車用のタイヤとは異なり、レーシングカートのレース用タイヤは空気圧の変化に敏感であるため、バランスの取れた空気圧セッティングにするためには4輪均一である必要があります。
しかし、カートコースは左コーナーと右コーナーが同数設置されているわけではないので、タイヤの温まりに左右差や前後差が生じます。
例えば、左コーナーの多いサーキットでは右のタイヤが比較的温まりやすいです。
つまり、冷間で4輪同値に設定していても走行していくうちに差異が生じるため、タイヤの性能を最大に発揮できる温まった状態ではバランスが悪くなる現象が発生します。
したがって、バランスの取れた空気圧に設定するためには、温間で4輪同値でなければなりません。
それでは、そのやり方を解説していきます。
温間で4輪均一のエア圧にする方法
まず冷間で空気圧を適当な値(狙った値の-10kPa~20kPa)に合わせ、通常通り走行します。
タイヤがしっかり発熱(3~5ラップ走行)したら、セッション途中またはセッション終了後、タイヤが温かいうちに空気圧を測定します。
この際、4輪の空気圧がバラバラの値を示すため、温間で狙った値に合わせます。
セッション終了後、しばらくしてタイヤが冷めたら再度、空気圧を測定します。
その際に示した値が冷間の空気圧の値です。
これを記録することで次回以降、温間でバランスの取れた空気圧を再現することができます。
この測定方法は、単純でありながらも正確な値を導き出せるため、トップチームも実践しています。
なお、前述したようにサーキットによってタイヤの温まり方は異なるため、サーキットごとに空気圧を測定してください。
まとめ
いかがでしたか。
レーシングカートのレース用タイヤは性能を最大限に発揮できるタイヤの温まった状態で空気圧が均一になることが重要です。
そのためには温間で空気圧を合わせ、冷間で測定する手法が最適です。
タイヤの空気圧はカートの基礎となる部分であるため、初めてのコース、タイヤで走行する際は必ずこの手法を用いて測定することをおすすめします。
以上、レーシングカートの空気圧を均一にする方法のご紹介でした。