レーシングカートでは路面との干渉を避け、ドリブンスプロケットが大きすぎる場合はドライブスプロケットを変更し調整するシーンがあります。
また、レインコンディションで大きな歯数変更が強いられる際、ドライブスプロケットを変更します。
その時、”元のドライブで変更後のドリブンはいくつ換算なのか”という疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
今回は、そのような疑問を一瞬で解決するスプロケットの計算式をご紹介します。
またこの計算をマスターすると、スプロケットの”0<a<1″の歯数変更も可能なため、”ほんの少し加速性能が上がってほしい”や”少しだけ最高速度を伸ばしたい”という希望に沿うこともできます。
なお、本記事はスプロケットの歯数変更による特性変化を理解していないと少々難しい内容になっています。
セッティング初心者の方は、下記記事でスプロケットについて解説していますのでそちらをご参照することをおすすめします。
それでは解説していきます。
スプロケットは変速比に依存する
計算式の解説に入る前にスプロケットによる特性変化は変速比に依存するということを思い出してください。
変速比って何?という方は当サイトで解説しておりますので是非参照ください。
スプロケットの歯数の違いによって起こる変化は変速比の上下に過ぎません。
つまり、スプロケットは単純にドライブとドリブンの比率です。
このことを念頭に置いていただいて計算式の解説に移ります。
スプロケットで使える計算式
変更前のドライブでのドリブン換算
冒頭でも例に出したように、レインコンディションなどでドライブスプロケットの変更が強いられる際、使用しているドリブンスプロケットが変更前のドライブだといくつ換算になるのか疑問に思うことがあります。
その際に仕える計算式は以下のとおりです。
(ドリブン)÷(変更後のドライブ)×(変更前のドライブ)
例えば、ドライ走行時ドライブ11T、ドリブン70Tで走っていたところ、雨が降ってきたためドライブを10Tに変更するシーンを想定します。
この場合は、
70÷10×11=77
つまり、変更前の11Tのドライブではドリブンは77T換算であることが分かります。
0<a<1Tのスプロケット変更
前述の計算式が使えるようになると、0<a<1Tのスプロケットセッティングが可能になります。
セッティングを煮詰めていくと、1Tの変更ほどではないが若干加速(or最高速度)重視にしたいという難しい曲面が訪れることもあります。
その際、この計算式を知っておくことでそんな問題を解決することができます。
例えば、ドライブ12T、ドリブン76Tで走っていたところ、若干の加速性能不足を感じ、スプロケットを少しだけ変更したい場面では、
ドライブ13T、ドリブン83Tに変更することで約0.6Tドリブンを大きくするのと同じ効果が得られます。
(適当なドリブンの値)÷(変更後のドライブ)×(変更前のドライブ)
適当なドリブンの値を式に当てはめ、何回か計算していくうちに必要な歯数に出会うことができます。
また、ドライブを11T、ドリブンを70Tにすることで約0.3Tドリブンを大きくするのと同じ効果を得られます。
このように、ドライブとドリブンの組み合わせ次第で何通りも76T<a<77Tの値を作ることができます。
したがって、持っているスプロケットや路面と干渉しないか等と相談し決めることが大切です。
まとめ
いかがでしたか。
スプロケットはドライブとドリブンの比率であるので、変速値を求めることで難しい要求にも応えることができます。
また、ドライブを変更したことによる頭の混乱もご紹介した計算ができれば一瞬で解決します。
スプロケット変更時は是非実践してみてください。
以上、変速比によるスプロケットの計算式のご紹介でした。